動作認識Action Recognition

つながった場面を見て何の動作か言い当てること

ポイント
  • 動作認識は写真一枚ではなく、つながった場面を複数まとめて何の動作かを名付ける作業です。
  • 同じ姿勢でも前後が違えば別の動作です。順序を逆にすると意味も逆になります。
  • いちばん厄介なところは、どこからどこまでが一回かを区切ることです。
  • 位置を記録しておく作業とは役割が違います。記録された流れを読んで名前を付けるほうです。
  • 背景や周りの物がヒントになることもありますが、見当違いの近道になることもあります。
目次

1たとえで理解する

ボールが足の上に上がっている写真一枚だけでは、何が起きているところなのか分かりにくいものです。今ちょうど蹴ったのか、蹴ろうとして足を上げたところなのか、蹴ったあとに下ろしている途中なのかは、写真には写っていません。

前後の数瞬間をつなげて見ると、物語が生まれます。足が上がり、ボールが跳ね上がり、足が下りてくる流れが見えて、そこで初めて「蹴った」になります。場面ひとつひとつにはなかった意味が、順序から作られます。

順序を逆に回すと意味も反転します。同じ三場面を逆につなぐと、ボールが足の上に舞い降りる場面になります。何回蹴ったかを数える作業も同じです。上がって下りてくるひとまとまりをどこで区切るか決めて、初めて数字が出ます。

2くわしく

一枚では分かりません

画像分類と動作認識が分かれるのはここです。写真一枚でも「ボール」という物は見分けられます。けれど「蹴る」は物ではなく時間をかけて起こる変化なので、一枚の中には収まりません。

座る動作と立ち上がる動作を考えるとはっきりします。途中の瞬間を切り取った写真は、二つの動作でまったく同じです。膝の曲がった角度だけを見てはどちらか絶対に分からず、前の場面で立っていたか座っていたかを見て初めて分かれます。

だから動作認識はいつも複数枚をひとかたまりで受け取ります。普通は1秒から3秒ほど、場面数にすると数十枚をまとめて入れます。

複数枚をどう束ねて見るか

大きく二つの方式を使います。ひとつは映像をそのまま受け取り、縦・横に加えて時間まで軸のひとつとして置き、模様を探す方式です。服の色や物の形のように画面に見える情報を全部使えるので細かいですが、計算が重くなります。

もうひとつは先に関節の位置を取り出して点の位置の記録に変えたあと、その数字の流れだけを見て判断する方式です。服と背景が消えるのでずっと軽く、照明や服の色が変わっても揺らぎません。代わりに手に何を持っているかといった情報はまるごと捨てます。

二つの方式を一緒に使うこともあります。画面全体を見るほうで大きな流れをつかみ、関節の流れで細部を確かめるやり方です。

どこまでが一回か区切る必要があります

あらかじめ切っておいた3秒の映像に名前を付ける作業は比較的簡単です。本当に難しいのは、数分の映像をそのまま渡して「ここからここまでが一回」と表示させる作業です。

動作の始まりと終わりは、人どうしでもなかなか一致しません。ボールを蹴るために足を上げる準備動作を一回に含めるかどうかから分かれます。正解資料を作る人ごとに境界の取り方が違うとモデルもあいまいに学んでしまいます。

だから回数を数える機能は思ったより頻繁に間違えます。一回を二回と数えたり、素早く続く二回をひとつにまとめてしまうことがよくあります。

背景という近道

水泳の動作を学ばせようとしてプールの映像だけを集めて教えると、モデルは水の色だけを見て「水泳」と答えるコツを身につけてしまいます。人が水辺にじっと立っているだけでも水泳と出てしまうわけです。テストの成績はよいのに実際には使えない状態になります。

この近道は正解資料が一方に偏っているときに生まれます。同じ動作をいろいろな場所で撮って入れたり、背景を消して関節の流れだけを残して教えたりすると減ります。何を見て当てたのかを確かめる作業が大事な理由です。

同じ動作でも人によって違います

ボールを蹴る様子は人ごとに、その日の調子ごとに違います。足の高さもリズムも違い、左利きと右利きでは左右が反転しています。カメラが横から撮ったか正面から撮ったかによって、画面の中の動きの方向もまったく変わります。

だから同じ動作を大勢の人、いろいろな角度、いろいろな速さで集めて教えます。映像を左右反転させたり、少し速く再生した複製を一緒に入れたりもします。こうして幅広く見せてこそ、初めて見る人の動作にも同じ名前を付けられます。

3もう少し正確に

動作認識はフレームの束を入力として受け取る分類問題です。映像そのものを扱うときは縦・横に時間を足した三方向で特徴を取り出し、関節座標を扱うときは点どうしのつながりと時間の順序を一緒に見る構造を使います。あらかじめ切られた区間に名前を付ける作業と、長い映像から区間そのものを見つけ出す作業は別の問題として分けて扱い、後者のほうがずっと難しいです。

たとえがずれる点もあります。ボールを蹴る様子を見る人は、初めて見る動作でも「あれは何か新しいことをしているな」と言えますが、動作認識は学習時に決めておいた名前のリストの中からしか選びません。リストにない動作もリストの中のどこかに割り当てられます。また人はボールという物と足の動きを一緒に見て判断しますが、関節の流れだけを見る方式は物をまったく見ないので、素手でする真似と実際の動作を区別できません。

4やってみる

5よくある誤解

  • 写真一枚でも動作が分かると思われがちですが、実際には座っている最中か立ち上がっている最中かのように前後を見て初めて分かれる動作が多くあります。

  • 姿勢をとらえれば動作認識は終わると考えられがちですが、実際にはとらえた姿勢が時間の順序でどう変わるかを読み取って初めて名前が付きます。

  • 回数を数えるのは簡単な機能だと思われがちですが、実際には一回の始まりと終わりをどこと見るかが人どうしでも一致しないため、よく間違えます。

7ひとこと要約

つまり動作認識はつながった場面をひとかたまりにまとめて何の動作かを名付ける作業で、意味は場面ひとつではなく場面どうしの順序から生まれます。

誤りや、もっと良いたとえがありますか? 修正を提案する · 最終更新2026-09-02