AIの基礎 入門

分類Classification

あらかじめ決めた枠のひとつを選んで割り当てる作業

ポイント
  • 分類は、入ってきたものをあらかじめ決めておいた枠のひとつに入れる作業です。枠の一覧が先にあって、そのあとに入れます。
  • モデルは枠をひとつだけ即座に選びません。枠ごとに点数を付けたあと最も高い枠を答えとして出します。
  • 枠を決めるのは人です。名前を付けた例をたくさん見せてはじめて、その枠の見た目を覚えます。
  • 一覧にないものが来ても、モデルはある枠のどれかを無理やり選びます。 枠の外という答えは別に作ってやる必要があります。
  • 答えが枠なら分類、答えがつながった数値なら回帰です。この違いが使う方法と成績の測り方を分けます。
目次

1たとえで理解する

郵便局の裏には地域別の袋が並んでいます。東京行き、大阪行き、福岡行きのように袋ごとに名札が付いていて、届いた郵便物はひとつずつそのどれかの袋に入っていきます。袋の一覧は郵便物が来る前にすでに決まっていて、今日変わった住所が来たからといって袋が新しくできることはありません。分類とは、こうして決まった枠のひとつを選んで割り当てる作業です。

選ぶ手がかりは封筒に書かれたいくつかの情報です。郵便番号の頭の桁、地名、貼られている切手の種類などです。手がかりがはっきりしていれば袋はすぐに決まり、字がにじんでいれば二つの袋の間でしばらく迷うことになります。

住所がすっかり消えた郵便物が来ても、袋の外に置いておくわけにはいきません。最もそれらしい袋にひとまず入れるか、「要確認」の袋を別に作っておかなければなりません。

2くわしく

枠の一覧が先に必要です

分類でまず行うのは、答えになりうる枠の一覧を人が決めることです。写真を犬と猫に分けるのか、犬と猫とそれ以外に分けるのかによって、できあがるモデルはまったく違ってきます。枠を二つに決めれば、新しい写真が来ても犬か猫のどちらかとしてしか出てきません。

枠を決めたら、それぞれの枠に当てはまる例をたくさん集める必要があります。犬の写真数百枚に「犬」という名札を、猫の写真数百枚に「猫」という名札を付けておく、といった具合です。この名札付きの例が学習材料です。

枠をどう切るかは技術ではなく判断です。郵便局が袋を都道府県別にするか市区町村別にするかは配送の事情次第の話であって、モデルが決めてくれるものではありません。

枠ごとに点数を付け、最も高い枠を選びます

モデルが袋をひとつ即座につかみ取るわけではありません。内部ではすべての枠について点数をひとつずつ付けます。 東京行き0.82、大阪行き0.11、福岡行き0.07というふうにです。そしてその中で最も高い枠を答えとして出します。

この点数を見ると、同じ答えでも事情が違うことが分かります。0.82と0.11に分かれた場合と、0.42と0.39に分かれた場合はどちらも東京行きと答えますが、後者は実質ほぼコイン投げに近い状態です。

だから実際のサービスでは、点数がある水準を超えたときだけ自動処理し、低ければ人に回すというふうに線を引いておきます。この線をどこに引くかで、見逃す割合と誤って入れてしまう割合が変わります。

封筒のどの部分を見るかが成績を決めます

分類の成績は、モデルよりも何を手がかりとして与えたかに大きく左右されます。郵便番号だけを与えた分類器と、郵便番号に地名まで加えた分類器では、実力が違って当然です。逆に役に立たない手がかりをたくさん与えると、かえって混乱します。

厄介なのは、見当違いの手がかりがうまく通用してしまう場合です。たまたま東京行きの郵便物にだけ青いシールが貼られていたなら、モデルはシールだけを見ても良い成績を出します。ところがシールの方針が変わると、その日から一気に崩れます。

枠ごとの例の数が大きく偏っていても問題です。東京行きが十件のうち九件なら、何も考えず東京行きと答えるだけで正解率が90パーセントになります。成績表だけ見るとうまくいっているようですが、何も学んでいないモデルです。

枠にないものが来たら

分類器は自分が知っている枠の中でしか答えられません。犬と猫しか学んでいないモデルに自動車の写真を入れると、自動車とは答えられず、犬か猫のどちらかを選びます。しかもかなり高い点数と一緒にです。

郵便局で言えば、海外からの郵便物が届いたのに国内向けの袋しかない状況です。どこかには入れなければならないので、最も似ていそうな袋に入り、その後もずっと誤ったまま進んでいきます。

だから実際に使われる分類器には「それ以外」の枠を別に用意したり、点数が低ければ答えを保留する仕組みを一緒に付けておいたりします。枠の一覧を全部そろえたと思った瞬間が、いちばん危険です。

3もう少し正確に

分類とは、入力をあらかじめ決めた範疇のひとつに対応させる問題です。答えが二つなら二値分類、三つ以上なら多クラス分類と呼びます。学習には正解の名札が付いた例が必要なので教師あり学習に属し、名札なしで似たものどうしをまとめるだけの分類先が決まっていない手法である群化(クラスタリング)とは出発点から異なります。モデルが出す点数は通常、すべて足すと1になるよう整えられて確率のように読めますが、うまく調整しておかないと、この数値が実際の的中率とずれることもあります。

たとえがずれる部分もあります。郵便局の袋は住所という確かな根拠で決まりますが、分類モデルには確かな根拠がありません。例から抜き出した統計的な傾向だけがあるので、同じ郵便物でも学習材料が違えば別の袋に入ることがあります。また枠と枠の間が郵便局のようにきっぱり分かれていない場合も多くあります。ひとつの文章が問い合わせでもあり苦情でもあるようにです。こうしたときは枠をひとつだけ選ばせず、複数の枠を同時に付けられるようにします。

4やってみる

5よくある誤解

  • 分類とクラスタリングは同じ作業だと思われがちですが、実際は分類は枠が先に決まっていて、クラスタリングは枠なしで似たものどうしを集める作業です。

  • 正解率が高ければ良い分類器だと見られがちですが、実際はひとつの枠に例が偏っていれば、何も学ばなくても正解率は高く出ます。

  • 知らないものが来たら知らないと答えてくれると思われがちですが、実際は知っている枠のどれかを高い点数とともに選びます。

7ひとこと要約

つまり分類はあらかじめ決めた枠ごとに点数を付けて最も高い枠を選ぶ作業で、枠の一覧をどう組むかが結果の半分を決めます。

誤りや、もっと良いたとえがありますか? 修正を提案する · 最終更新2026-09-02