画像分類Image Classification

写真一枚に名札を一つ付ける仕事

ポイント
  • 画像分類は写真一枚を見て名札を一つ選ぶ仕事です。写真に写る物がいくつあっても答えは一つです。
  • 選べる名札はあらかじめ決めた一覧の中にしかありません。一覧にないものは絶対に出てきません。
  • 答えはきっぱりとは出ず、名札ごとに点数が付いたあと、いちばん高い一つが選ばれます。
  • 物がどこにあるかは教えてくれません。位置が必要なら次の段階である物体検出に進みます。
  • 写真を数枚用意するだけでウェブカメラで直接自分だけの分類器を作れるほど敷居が低いです。
目次

1たとえで理解する

肉屋の陳列台に肉の塊が一つ置いてあります。店主は一目見て「肩ロース」ときっぱり呼びます。二つの名前をいっしょに付けたり、肩ロースのようでももも肉のようでもあると言葉を濁したりはしません。名前は一つで終わりです。

呼べる名前は壁に貼られた部位表の中にあるものだけです。表にない肉を持っていっても「知らない肉」という答えは返ってきません。表に書かれた名前の中でいちばん近いものを選んで呼ぶだけです。その表がこの店が世界をどう分けているかのすべてだからです。

もう一つ、返ってくるのは名前一つだけです。その塊がもともとどの場所から切り出されたのか、盆のどちら側に置かれていたのかは教えてくれません。

2くわしく

決まった一覧の中からしか選びません

分類器を作るときはまず名札の一覧を決めます。犬・猫・鳥の三つに決めたなら、そのあとどんな写真が入ってきても答えはこの三つのうちの一つです。コップの写真を入れても犬か猫か鳥のどれかが出てきます。

この性質を知っていると結果をずっとうまく読めます。見当違いの答えが出たときモデルが壊れたわけではなく、そもそも答えようのない質問を受けた場合が多いのです。そのため実際に使うときは「その他」という枠を一覧にもう一つ加え、関係ない写真をここに送るよう合わせて教えることもあります。

一覧にある名札でも、学習で見たことのない姿だと揺らぎます。昼間に撮った写真だけで学んでいたら、夜に撮った同じ物では迷います。ウェブカメラで作ってみるとき背景を変えたり角度を変えたりして何枚も撮っておくと、結果が目に見えて良くなる理由です。

答えは点数で出ます

分類器は「これは猫」と言い切りません。名札ごとに点数を付けます。猫0.82、犬0.15、鳥0.03というふうにです。すべての点数を足すと1になるようそろえてあるので、それぞれを百分率のように読めます。

私たちが見る答えはそのうちいちばん高い一つです。ところが一位の点数が0.9の場合と0.35の場合では事情がまるで違います。前者はかなり確信している状態で、後者は残りより少しましというだけです。ウェブカメラの前で物をゆっくり回してみると点数のバーが揺れ動くのが見えますが、その揺れがモデルがどれだけ迷っているかを表しています。

そのため実際のサービスでは、一位の点数が一定の水準を超えたときだけ答えとして使い、超えなければ「分からない」として扱う方法がよく使われます。

どこにあるかは教えてくれません

画像分類のいちばん大きな限界は位置です。机の写真を入れれば「机」とは答えますが、机が写真のどちら側にあるのか、上に乗っているコップはいくつなのかは教えてくれません。写真に物が複数あると、そのうちいちばん目立つ一つに引っ張られてしまいます。

ここから一段上がったのが物ごとに枠を付ける物体検出で、そこからさらに一段上がったのが点単位で形を切り出すセグメンテーションです。写真一枚に名札一つ、物ごとに枠一つ、点ごとに名札一つ。必要な精密さが上がるほど用意する学習資料も重くなります。分類は写真に名前だけ書けば済みますが、枠や形は人が一つずつ描いてやらなければなりません。

ウェブカメラですぐ試せます

画像分類が他の仕事より敷居が低い理由は、学習資料を集めやすいからです。写真を種類ごとのフォルダに分けて入れるだけで資料の準備が終わります。

すでに写真をたくさん見て学んでおいた大きなモデルを持ってきて、末端の部分だけ自分の写真で学び直させる方法もよく使われます。細かい模様や部品を見分ける力はそのまま引き継ぎ、名札を選ぶ部分だけ新しく教えるわけです。だから種類ごとに写真十枚ほど撮るだけでも使える分類器ができます。ブラウザで数分で終わる体験ツールがまさにこの方式を使っています。

3もう少し正確に

画像分類は写真一枚を入力として受け取り、あらかじめ決めた名札一覧に対する点数を出す問題です。最後の段階で点数をすべて足して1になるようならす計算を通すため、結果を確率のように扱えます。ただしこの値は人が感じる確信と正確には同じではなく、実際より高めに出る傾向が知られています。

写真を人が整理しておいたフォルダ名がそのまま名札になるため、資料をどう集めたかが結果を大きく左右します。ある種類だけ写真が異様に多かったり、特定の背景でしか撮られていなかったりすると、モデルがその背景を名札と勘違いすることもあります。

肉屋のたとえがずれる点もあります。人は目で見るだけでなく肌合いを触ったりにおいを嗅いだりして見極めますが、分類器が使う手がかりは写真一枚に写ったものがすべてです。そして名前を一つだけ選ぶ代わりに、名札を複数同時に付ける方式もあります。写真一枚に「海」「夕焼け」「夏」をまとめて付けるようなやり方です。このときは点数を足して1にそろえず、名札ごとに別々に判断します。

4やってみる

5よくある誤解

  • 分類器が知らないものを知らないと教えてくれると思われがちですが、実際には一覧にない写真にも一覧の中の答えを無理に一つ選んで出してしまいます。

  • 点数が高ければ必ず正しいと見なされがちですが、実際には学習で見たことのない状況で高い点数を自信満々に間違えることがよくあります。

  • 分類さえうまくいけば物の位置も分かると思われがちですが、実際には位置を出させるには学習資料と末端の構造をいっしょに変える必要があります。

7ひとこと要約

つまり画像分類は写真一枚を見てあらかじめ決めた一覧から名札を一つ選ぶ仕事で、何なのかは教えてくれても、どこに何個あるかは教えてくれません。

誤りや、もっと良いたとえがありますか? 修正を提案する · 最終更新2026-09-02