プロンプトPrompt

AIに何をしてほしいか書き渡す指示文

ポイント
  • プロンプトはAIに渡す注文書一枚です。書いたことだけが伝わり、書かなかったことは伝わりません。
  • よい注文書には何を・どんな条件で・誰に・どんな形でが入っています。
  • あいまいに書くと、AIはよくある形で勝手に埋めます。その埋め方は毎回違うので答えも揺れます。
  • ほしい結果を例で一つ二つ見せるほうが、言葉で長く説明するより通じやすいです。
  • 注文書は毎回新しく渡されます。ここまでの会話全体が一枚に乗って一緒に運ばれます。
目次

1たとえで理解する

フードデリバリーで注文するとき、画面に出るのはメニュー名だけではありません。辛さ、量、到着時刻、そして「ご要望」の欄が並んでいます。この欄に書いたことはそのまま厨房に伝わり、書かなかったことは伝わりません。

「辛さを控えめに」と書けばそのとおりに来ます。何も書かなければ店の標準どおりに来ます。店が好みを知らないのではなく、書かれていない好みは知りようがないのです。

ぼんやり書くと店が勝手に決めます。「適当にお願いします」と書けば、その店が思う適当さが来ますが、それが自分の思う適当さと同じとは限りません。プロンプトもこの要望欄と同じです。

2くわしく

書かなかったことは来ません

AIが気を利かせないのではありません。プロンプトに書かれた文字のほかに、今の状況を知る手段がそもそもないのです。会社員か学生か、この文章をどこで使うのか、どれくらいの長さがほしいのかは、書かなければ存在しない情報です。

「報告書を書いて」とだけ頼むと、誰に送る報告書か、何枚くらいか、どれほど格式張るかがすべて空欄です。AIはその空欄を、学習の中で一番よく見た形で埋めます。答えが無難なだけで自分の状況に合わない感じがするのは、たいていこのせいです。

注文書に入れる四つのこと

何をしてほしいかを動詞ではっきり書きます。「まとめて」と「比べて」と「書き直して」では結果がまったく違います。

どんな条件でするかを付け足します。長さ、口調、必ず入れるもの、外すべきものなどです。「三段落で」「丁寧語で」「専門用語は言い換えて」という一行が結果を大きく変えます。

誰に向けた話かを伝えます。同じ説明でも、小学生に話す言葉と担当者に話す言葉は違うはずだからです。

どんな形で受け取りたいかも書きます。箇条書きか段落か、表か文章かを決めておけば、出てきた結果をそのまま使えます。四つとも毎回書く必要はなく、いつも省いてしまう項目があれば、そこから先に埋める癖をつけると効果が出やすいです。

ぼんやり書くと答えも揺れます

「よく書いて」というお願いには基準がありません。基準がないとAIは毎回違う見当をつけ、同じお願いを二回入れても答えが変わります。答えが気に入らないとき、何を直せばよいかもわかりにくくなります。

基準を数字や条件に変えると揺れが減ります。「短く」より「五行以内で」、「わかりやすく」より「中学生が読めるように」がよく、「丁寧に」より「お詫びの一文から始めて」のほうがよいのです。

一度で完璧な注文書を書こうと気負う必要はありません。返ってきた答えで気に入らない点を一つずつ条件に書き移していくほうが早く仕上がります。

言葉より例のほうが速いです

ほしい口調や形式を言葉で説明しにくいときがあります。「もう少し柔らかく、でもくだけすぎない感じ」といくら言葉を重ねても、思っているものとは微妙にずれた答えが返ってきがちです。そんなときはほしい結果を一つ二つ見せるほうがずっと通じます。「こんな感じで」と見本を付ければ、長く説明しなくてもその型に沿ってきます。

反対に避けたい形を見せるのも役立ちます。ただし、やってはいけないことばかり書くより、代わりにどうすればよいかも一緒に書くほうが通じやすいです。禁止だけを並べた注文書は、店にとっても何を出せばよいかがかえって分かりにくくなります。

注文書は毎回新しく渡されます

会話を続けていると、前に言ったことがずっと有効なように感じますが、実際にはここまでの会話全体が一枚に乗って毎回新しく渡されているのです。だから会話が長くなると前のほうが押し出されて消えます。

必ず守ってほしい条件なら、最初に一度書いて忘れるのではなく、大事な場面でもう一度書き直すほうが安全です。

3もう少し正確に

プロンプトはモデルに入る入力全体を指します。画面に自分で打った文だけでなく、サービスがあらかじめ入れておくシステムプロンプト、ここまでの会話、貼り付けた文書、検索してきた資料がすべて合わさって一つの入力になります。この入力は細かく分けられてモデルに入り、モデルはその続きの断片を一つずつ作り出します。

たとえがずれる点もあります。デリバリーの注文は厨房に人がいるので、おかしな要望を見れば電話で確認しますが、モデルは聞き返さずにそれらしい形で埋めます。また注文書は店に記録として残りますが、プロンプトはモデルに残りません。毎回まるごと渡し直す紙一枚に近いのです。画面には前の会話が上に残って見えても、それは私たちの目に見える記録であって、モデル側では毎回新しく積み直される荷物です。だからこそ、対話の途中で条件を変えても前の注文がこっそり生き続けることはなく、書き直した分がそのまま新しい注文書になります。

4やってみる

5よくある誤解

  • プロンプトをうまく書けばモデルができなかったことができるようになると思われがちですが、実際にはモデルが持つ力を引き出すだけで、無い力が生まれるわけではありません。

  • 長く書くほどよいプロンプトだと見なされがちですが、実際には条件がはっきりした短い文のほうが長い説明より通じます。

  • 一度決めた条件は会話の間ずっと守られると思われがちですが、実際には会話が長くなると前のほうが押し出され、その条件が見えなくなります。

7ひとこと要約

つまりプロンプトはAIに渡す注文書なので、書いた分だけ伝わり、空けた欄はAIが勝手に埋めます。

誤りや、もっと良いたとえがありますか? 修正を提案する · 最終更新2026-09-02